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2022/02/01トピックス
【開催報告】「働き方改革推進支援セミナー」

越谷商工会議所では埼玉県社会保険労務士会越谷支部と提携し、働き方改革推進支援として「ハラスメント」「両立支援」

「労務管理」をテーマとしたセミナーを開催いたしました。

 

◆第1回 基礎から学ぶ!ハラスメント研修  講師:向佐良倫氏  

     開催日:11月12日(金) 出席者:15名

 

 セクハラ、パワハラについて、定義や判断要素を解説していただきました。さらにワークショップや裁判事例の紹介で理解を深め、最後にはハラスメントが起こった場合の対応方法をご教示いただきました。

 

*セクシュアルハラスメントとは

 職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により、「当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの(対価型セクハラ)」と、「当該性的な言動により労働者の就業環境が害されるもの(環境型セクハラ)」がある。

 

下記のような場合、会社も訴えられる可能性がある。

・職場で起きているセクハラ行為を見逃したり、被害者の訴えにきちんと対応しなかったり事態を放っておく

・社員が働きやすい職場環境を保つよう配慮する義務を怠る

 

*パワーハラスメントとは

 職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、

③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素をすべて満たすものをいう。

 

会社が組織である以上、部下へ指示・命令をするのは当然のこと。ただし、伝え方を誤るといくら正しいことを言っても

パワハラとなる可能性がある。怒鳴ったり、他の従業員の前で注意したり、人格を否定したりしていないか、指導の仕方

にも注意が必要

 

*セクハラ・パワハラの判断要素と判断基準

 

判断要素

判断基準

セクハラ

・言動が相手の意に反していないか?

・就業環境を悪化させていないか?

平均的な労働者の感じ方

パワハラ

・職務との関連性、必要性があるか?

・一般的に必要な範囲を逸脱していないか?

 (行き過ぎた言動ではないか)

 

*ハラスメントが起こってしまったら…初動が大事!
 
被害者から相談を受けたら、まずは事実関係を確認(ヒアリング)

 <ヒアリングのポイント>

 ・守秘義務を守る

 ・傾聴する(相手のペースに合わせる)

 ・誘導するような質問をして相談者の記憶をゆがめない

 ・相手の言ったことをそのまま記録(自分の解釈を入れない)

 ・セカンドハラスメントに気を付ける

   ※セカンドハラスメント…相談したことにより、逆にバッシングを受けたり、嫌がらせを受けたりするなどの二次被害のこと

 ・被害者が何を求めているか聞く(加害者からの謝罪なのか、配置転換なのか、解雇なのか)

 


 

◆第2回 従業員が働きやすい環境を整えるために!ここから始める「両立支援」 講師:近藤明美氏

     開催日:11月17日(水) 出席者:9名

 

 育児、介護、治療と仕事を両立しやすくするために2022年に改正となる内容とその背景を解説していただきました。また、両立支援の実現に向けて会社としてどう対応したら良いかをご教示いただきました。

 

*育児介護休業法の改正ポイント

<2022年4月1日施行>

 ①育児休業を取得しやすい雇用環境の整備および申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の義務化

 ②有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件緩和

<2022年10月1日施行>

 ③男性の育児休業取得促進のための「出生時育児休業」制度の創設

 ④育児休業の分割取得

育児を目的とした休暇・休業を取得しやすくするため、制度を周知することが重要

 

*治療と仕事の両立支援

 働く世代で疾病を抱える方は増加している。医療技術の向上により疾病を抱えていても就業が可能となった今、治療をしながらの就労を希望する方は約80%。

 ただし、疾病の告知をされた直後は大きな衝撃を受け、ストレスにより退職を申し出る方も多い。心が落ち着く2~3週間後まで待ち、退職をすぐに決断させない。また、職場もバックアップすること、可能な範囲で希望を尊重することを伝える。

 

○職場における両立支援のポイント

1.安全と健康の確保(適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行う)

2.労働者本人による取組(疾病の増悪防止のため本人が服薬や通院に努める)

3.労働者本人の申し出(申し出が行いやすい環境を整備する)

4.治療と仕事の両立支援の特徴を踏まえた対応(本人の健康状態や業務遂行能力を考慮する)

5.個別事例の特性に応じた配慮(同じ治療でも個人によって副作用や後遺症は異なる)

6.対象者、対応方法の明確化(会社としてどこまで対応できるかルールを制定する)

7.個人情報の保護(疾病に関する情報は機微な個人情報。適切な情報管理体制を整備する)

8.両立支援にかかわる関係者間の連携の重要性(本人の同意のもと主治医と面談する、両立支援コーディネーターを

 活用する)

疾病を抱える労働者本人と、上司や同僚との間ですれ違いが起こらないよう、必要なことは相手に伝えることが重要

 


 

◆第3回 残業手当の落とし穴  講師:山本佳子氏

     開催日:12月1日(水) 出席者:15名

 

 未払い賃金の消滅時効が延長になったことにより、会社としてどう対応したら良いのか解説していただきました。さらに、未払い賃金を巡って争いとなった事例の紹介や割増賃金に関する計算演習で理解を深めました。

 

令和2年4月1日以降に支払われる賃金より、未払い賃金の消滅時効が3年に延長となった。会社がとるべき3つの対応とは…

①労働時間の管理・把握

 労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと。労働時間に該当するか否かは労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かにより客観的に決まる。

 

○労働時間の把握のためには信頼性の高い方法で記録を残すことが大事(機械的記録)

 具体的には…タイムカード、PCのログイン・ログオフ時間、電子メール送信時刻、タコグラフ、レジ締め時刻など

 ※手書きの出勤簿や日報は信頼性が低い

 

会社で労働時間を適切に把握していなかった場合、労働者側の主張に従って労働時間が認定されてしまう恐れがあるため、会社を守るためにも労働時間の管理・把握は重要

※会社が労働時間を把握できていない場合、労働者がカレンダーに書いたメモなどが証拠となる

 

②労働時間の明確な基準を作成

どこまでを労働時間としてカウントするのか明確な基準を作成する。

 

○労働時間のチェックポイント

・始業前の準備、終業後の片付け(会社から義務付けられているかどうかが判断基準)

・着替え(会社で着替えている時間は労働時間に含める)

・手待ち時間(昼休み中の電話番は労働時間に含める)※休憩時間との区別をはっきりさせる

・勉強会、研修(出席が義務であれば労働時間に含める。本人希望の場合は要相談)

・健康診断(労働時間に含めることが望ましい。ただし特殊健康診断は必ず労働時間に含める)

 

③賃金計算式の見直し

計算誤りの原因には「計算式の間違い」も大きく影響する。

 

○(月給制)残業時間の基礎時給単価を算出するポイント

・住宅手当が一律で支給されている場合は割増賃金の計算の基礎となる賃金額に住宅手当を含む。

・平日時間外、深夜、法定休日に仕事をした場合の割増率について「平日時間外かつ深夜」、「法定休日かつ深夜」となる

 場合はそれぞれの割増率を合計する。